ダストビン・ベイビー
![]() | ダストビン・ベイビー (2004/08) ジャクリーン ウィルソン 商品詳細を見る |
続けて読んじゃいました。
「タトゥーママ」と同じくジャクリーン・ウィルソンの作品です。
この物語の主人公はエイプリルという少女。
彼女はこの世に生まれた直後に裸のままで、ピザ屋の裏のゴミ箱に捨てられていたところを、泣き声に気づいたアルバイト男子学生に見つけられて福祉に保護をされます。
それからまもなく子供に恵まれない夫婦の養女となったエイプリルですが、なかなか良い縁に巡り合えず里親や施設を転々とするうちに、いつしか自暴自棄となり自分の殻に閉じこもるようになります。
そんなエイプリルのもとに、これまでの過去をすべて知り尽くした上でそれでもなお、養母になってくれる独身女性マリオンが現れます。
マリオンとの生活を大事に思いながらも、生みの母親の事が気掛かりで頭から払拭出来ないでいるエイプリルは、14歳の誕生日に些細な事からマリオンと口論になり、それをきっかけに自分のルーツをたどる旅に出ます。
たった1日だけの旅物語ですが、自分の歴史に関係のあるたくさんの人々との出会いを通じて、エイプリルは一番大事な何かに気付きます。
旅の最後にエイプリルは自分が捨てられていたピザ屋の裏に辿り着き、14年間ものあいだ毎年4月1日の誕生日(捨てられた日)に必ず、ゴミ箱に彼女へのメッセージと連絡先の電話番号を書き続けてくれていた人物がいる事を知ります。
物語中では彼女の不運や彼女の繊細な心の動きをかなりリアルに再現しているので、本来なら重く悲しい内容になってしまいかねないところですが、全体を通して読みやすくカラッと爽やかさすら感じます。作者独自の作風でしょうね。
ラストは心温まる感動が待っています。
エイプリルのルーツをたどる旅は、誰もがその気持ちを共感できるものだと思いますし「この先いったいどうなるのかな?」と先が知りたくて、一度も本を置かず一気に読みました。
良い本でした。
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タトゥーママ
![]() | タトゥーママ (2004/08) ジャクリーン ウィルソン 商品詳細を見る |
昨日はH&Mの開店が凄かったみたいですね。
前夜からボチボチと並び始めて、開店時間前には2000人以上が並んだとか

大阪にも早く出店して欲しいもんです。
さて、3連休2日目。今日は家でゴロゴロしながら本をめくってます。
秋になると本が読みたくなるから不思議(笑)
作者のジャクリーン・ウィルソンはイギリスのベストセラー作家で、主に小学校高学年~中高生向けの児童書を書いているようです。
カバー絵から受ける印象よりも物語の背景は重くシビア。児童書とは思えぬほど、登場人物を取り巻く厳しい環境をリアルに再現しています。
主人公のドル(ドルフィン)は10歳の女の子。
この物語はドルが語り手となって展開してゆきます。
ドルは、美人で芸術的センスに溢れ全身に色とりどりのタトゥーを施したお母さんのマリゴールドと、ブロンドヘアの美人で頭のいい姉のスターと3人暮らし。
最初は仲のいい3人親子でしたが、定職につかず生活保護のお金で暮らし、アルコールと男のせいで精神状態が常に不安定でタトゥーだらけの未婚母マリゴールドに、思春期の姉スターは嫌悪感を抱くようになります。
そんな時スターの父親ミッキーがひょんな事から現れて、スターはマリゴールドとドルをおいて素敵なお父さんミッキーと新しい生活を始めます。
「ドルも一緒に行こう」とスターは誘いますが、どうしてもドルはマリゴールドを見捨てる事が出来ず、そばに一人残りますが…。
アルコール依存と心に重い病気を抱えるマリゴールドを、必死になって一人で支えようと努力するドルの健気な子供心は、読み進めると切なく胸が痛みます。
ただ、シビアな内容であるにも関わらず、この作者独自の軽快な語りで途中で読むのが苦しくなりません。
この物語の中で、ドルは自分を取り巻く厳しい現状や周囲の苛めに屈する事無く、しっかり自分を持った強い子供として描かれています。読んでいる私も、すっかりドルの応援者となっていました。
苦労しながらも母や姉とはまったく関係のない自分だけの世界を見つける結末など、最後まで楽しく読めました。
この本と一緒に、同じくウィルソンの「ダストビンベイビー」も購入。
こちらも読むのが楽しみ。